
小学生の不登校は、保護者にとって向き合い方に悩みやすい問題の一つです。
文部科学省の令和6年度調査では、小学生全体の2.3%が不登校だとされています。2.3%と聞くと少なく感じるかもしれませんが、人数で表すと137,704人もの小学生が不登校になっています。
※参照:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
不登校は特別な家庭だけで起こるものではありません。友人関係、勉強への不安、体調不良、学校生活への負担など、さまざまな要因が重なることで、どの家庭にも起こり得るものです。
この記事では、小学生の子どもが不登校になる主な原因や、親ができる対応、家での過ごし方、勉強の遅れが気になるときの学習方法について解説します。
Contents
小学生の子どもが不登校になる主な原因
小学生の子どもが不登校になる原因は、友人関係や先生との相性、勉強への不安、体調不良などさまざまです。
また、1つの原因だけで学校に行けなくなるとは限らず、複数の不安や負担が重なって不登校につながることもあります。
ここでは、小学生の不登校でよく見られる主な原因を紹介します。
友人関係やクラスの雰囲気が負担になっている
友達とのトラブル、からかい、仲間外れ、グループ関係の変化などが、不登校の原因になることがあります。
小学生の場合、大人から見ると小さな出来事に見えても、本人にとっては大きな不安になっていることがあります。
また、いじめや人間関係の悩みがあっても、親に話せない子どももいます。特に「心配をかけたくない」「うまく説明できない」「言うともっと面倒になるかもしれない」と感じている場合、親がすぐに気づくのは難しいこともあります。
先生との相性や学校生活に不安がある
担任の先生との相性、授業中の雰囲気、クラスのルール、学校行事などが負担になることもあります。
小学生は、学校生活の多くの時間を同じクラス・同じ担任の先生と過ごします。そのため、クラスの環境が合わない場合、学校全体がつらい場所に感じられることがあります。
特に、叱られることへの不安が強い子どもや、集団行動が苦手な子どもは、登校前から緊張や不安が強くなり、不登校につながる場合もあります。
勉強についていけない・授業がつらい
勉強のつまずきも、不登校の原因になります。
小学校高学年になると、算数や国語の内容が難しくなり、授業についていけない不安が強くなることがあります。宿題が終わらない、テストで悪い点を取るのがつらい、授業中に当てられるのが怖いなど、勉強に関する不安が学校への抵抗感につながる場合があります。
勉強が分からない状態が続くと、授業を受けること自体が苦痛になり、学校に行くことへの不安が強くなることもあります。
朝起きられない、体調不良が続く
朝になると頭痛や腹痛を訴える、吐き気がする、起き上がれない、夜眠れないといった体調面の不調が不登校の原因となることもあります。
心の負担が体の症状として表れることもありますが、身体的な病気が関係している場合もあります。体調不良が続く場合は、「学校に行きたくないだけ」と決めつけず、まずは小児科で体調不良の症状について相談しましょう。
受診する際は、症状が出る時間帯、いつ頃から続いているか、睡眠や食事の変化、学校の話をしたときの様子などを整理しておくと相談しやすくなります。
不登校になった直後の親の対応
小学生の子どもが不登校になった直後は、対応を急ぎすぎないことが重要です。
最初の段階では、再登校の方法を探す前に、子どもを安心させることを優先しましょう。
「今日は休んでも大丈夫」と伝える
不登校になった直後の子どもには、まず休むことを認める声かけが必要です。
「休んでいい」と言うと、そのまま学校に行かなくなるのではないかと不安になるかもしれません。しかし、子どもが限界に近い状態で無理に登校させても、学校への抵抗感がさらに強くなってしまうことがあります。
まずは、「今日は休んで大丈夫」「学校のことは、あとで一緒に考えよう」と伝えましょう。
何があったのかを無理に聞き出さない
親としては、不登校になった原因を知りたいと思うのが自然です。
しかし、不登校になった直後に「何があったの?」「誰かに何かされたの?」と質問を重ねると、子どもは責められているように感じることがあります。
子どもが話したがらない場合は、無理に聞き出さず、「話したくなったら聞くよ」「うまく言えなくても大丈夫だよ」と伝えましょう。原因を聞き出すためには、子どもが話せる雰囲気を作ることが大切です。
無理に登校させたり周囲と比べたりしない
泣いている子どもを無理に学校へ連れて行く、玄関まで引っ張る、強い言葉で登校を迫るといった対応は避けた方がよいです。
一時的に登校できたとしても、子どもが「学校は無理やり行かされる場所」と感じてしまうことがあります。まずは、学校に行けないほどつらい状態であることを受け止めましょう。
また、「弟は学校に行っているよ」「同じクラスの子は頑張っているよ」「昔はちゃんと行けていたのに」といった比較は、子どもの自己否定感を強めることがあります。
学校に行けないことを本人も気にしている場合、周囲と比べられるとさらに落ち込んでしまいます。ほかの子と比べるのではなく、今の子どもの状態を見て、少しずつできていることに目を向けましょう。
学校に家庭での様子を共有する
欠席が続きそうな場合は、学校に状況を共有しましょう。詳しい原因が分かっていなくても、家庭で見えている様子を伝えるだけで構いません。
たとえば、以下のような内容です。
- 朝になると体調不良を訴える
- 学校の話をすると強い不安が出る
- 食欲や睡眠に変化がある
- 友人関係や勉強に不安がありそう
学校に状況を伝えておくことで、今後の関わり方について学校と連携しやすくなります。子どもの状態に合わせた対応を一緒に考えるためにも、家庭での様子を共有しておきましょう。
体調不良が続く場合は小児科や相談機関に相談する
頭痛、腹痛、不眠、食欲不振、強い不安などが続く場合は、家庭だけで様子を見続けず、まずは小児科で体調不良の症状について相談しましょう。
特に、朝になると強い腹痛や吐き気が出る、夜眠れない状態が続いている、学校の話をするとパニックになる、自分を強く責める発言があるといった場合は、早めに相談することが大切です。
不登校は、家庭だけで抱え込む必要はありません。子どもの不安や体調不良が続く場合は、学校や専門機関に相談しながら、状態に合わせた対応を考えていきましょう。
不登校の小学生の家での過ごし方
不登校中の家での過ごし方に、絶対の正解はありません。
大切なのは、子どもの状態に合わせて段階を分けて考えることです。学校に行けなくなった直後から、生活リズムや学習環境をすべて整えようとすると、子どもにも保護者にも負担が大きくなります。
最初はまず休ませる
学校に行けなくなった直後は、心も体も疲れている状態です。
この時期に、無理に勉強させたり、外出させたり、学校の話を何度もしたりすると、子どもがさらに疲れてしまう場合があります。
まずは、安心して眠ること、食事を取ること、家で落ち着いて過ごすことを優先しましょう。何もしていないように見えても、子どもにとっては回復のために必要な時間です。
少し落ち着いたら生活リズムを整える
少し落ち着いてきたら、生活リズムを整えていきます。
ただし、いきなり学校と同じ時間に起きる必要はありません。朝起きる時間を早める、朝食を食べるなど、できることから始めましょう。
生活リズムが整うと、体調や気分が安定しやすくなり、学習や外出にもつなげやすくなります。
家庭内の役割や外との接点を作る
家で落ち着いて過ごせるようになってきたら、家庭内で小さな役割を持たせるのもよい方法です。
食器を並べる、洗濯物をたたむ、ペットの世話をする、簡単な料理を手伝うなど、負担の少ないことで構いません。
大切なのは、完璧にやらせることではありません。「助かったよ」「ありがとう」と伝えることで、子どもが「自分にもできることがある」と感じやすくなります。
また、近所の散歩、図書館、習い事、親戚の家など、学校や家以外の場所との接点を少しずつ作ることも大切です。
短時間の勉強から始める
子どもが少し落ち着いてきたら、勉強にも少しずつ触れていきましょう。
ただし、最初から遅れを取り戻そうとする必要はありません。最初の目標は「勉強を進めること」よりも、「勉強に対する抵抗感を減らすこと」です。
最初は、漢字を1つだけ書く、計算問題を1問だけ解く、教科書を1ページだけ読む、好きな本を10分読む、学校のプリントを眺めるだけでも構いません。
「今日はこれだけできたね」と確認しながら、少しずつ学習量を増やしていきましょう。
勉強の遅れが気になるときの学習方法
不登校が続くと、勉強の遅れが気になる家庭も多いです。授業に出られていない期間が長くなるほど、「このままついていけなくなるのではないか」と不安になることもあるでしょう。
ただし、焦って学習量を増やそうとすると、子どもにとって負担が大きくなる場合があります。まずは子どもの状態に合わせて、無理なく取り組める方法を選ぶことが大切です。
ここでは、不登校中の勉強の遅れが気になるときに検討したい学習方法を紹介します。
学校のプリントや教科書を使う
まず取り組みやすいのは、学校のプリントや教科書を使う方法です。
学校と連携して、授業で使ったプリントや宿題を受け取れる場合があります。ただし、学校の教材をそのまま進めるのが負担になる子どももいます。その場合は、全部やろうとせず、取り組みやすい部分だけ選びましょう。
通信教材・オンライン教材を使う
通信教材やオンライン教材は、自宅で自分のペースで進めやすい点がメリットです。
ただし、教材を渡すだけでは続かないこともあります。特に小学生の場合、保護者が進み具合を確認したり、分からないところを一緒に見たりするサポートが必要になります。
フリースクールや教育支援センターを使う
学校以外で学習や生活の支援を受けられる場所として、フリースクールや教育支援センターを検討する方法もあります。
学習支援だけでなく、同年代の子どもや支援者と関わる機会を持てます。子どもの状態や地域の選択肢によって合う場所は異なるため、学校や自治体の窓口に相談しながら検討するとよいでしょう。
家庭教師を使う
不登校中の学習では、家庭教師を活用する方法もあります。
家庭教師のメリットは、子どもの状態に合わせて、学習内容やペースを調整しやすいことです。
特に、学校の授業についていけなくなっている場合や、親が教えると親子でぶつかってしまう場合、学校以外の大人と関わる機会を作りたい場合には、家庭教師は有効な選択肢の一つになります。
ただし、家庭教師を利用する場合は、先生の選び方や授業のやり方にも注意が必要です。次の章で、不登校中の学習に家庭教師を活用する際のポイントを解説します。
不登校中の学習に家庭教師を活用する際のポイント
家庭教師は、不登校中の子どもが自宅で学習を始めやすい方法の一つです。
通塾や集団授業に比べて負担が少なく、子どもの体調や気持ちの状態に合わせて、学習内容やペースを調整しやすい点が特徴です。また、親が勉強を教えると親子でぶつかってしまう場合でも、第三者である先生が関わることで、子どもが落ち着いて学習に向き合いやすくなることがあります。
ただし、不登校中の子どもには、学習面だけでなく気持ちの面への配慮も必要です。家庭教師を利用する場合は、先生との相性や授業の始め方を慎重に考えましょう。
ここでは、不登校の子どもに家庭教師をつける場合に意識したいポイントを紹介します。
まずは勉強への抵抗感を減らすことを目標にする
不登校の子どもに家庭教師をつける場合、最初から「遅れを取り戻す」「テストの点数を上げる」ことを強く求めすぎない方がよいです。
まずは、勉強する時間を少し作る、分からないところを話せる、といったことを目標にしましょう。家庭教師であれば、子どもの反応を見ながら内容やペースを調整できるため、勉強への抵抗感を少しずつ減らしやすくなります。
子どもが安心して話せる先生を選ぶ
不登校中の子どもにとって、先生との相性はとても重要です。
学力が高い先生であっても、子どもが緊張してしまう相手では、学習を続けにくいことがあります。一方で、子どもの話を落ち着いて聞いてくれる先生であれば、勉強だけでなく、学校以外の大人と関わる良いきっかけにもなります。
家庭教師を選ぶときは、先生が子どもの話を急かさず聞けるか、できないことを責めないか、子どものペースに合わせられるか、雑談や関係づくりを大切にできるかといった点を確認するとよいでしょう。
学校の進度よりも本人の状態に合わせる
不登校中の学習では、学校の進度に追いつくことを優先しない方がよい場合があります。
子どもがまだ不安定な時期に、学校と同じペースで進めようとすると、勉強の負担感が強くなってしまいます。まずは、本人の体調や気持ちの状態を見ながら、取り組める量や内容を調整することが大切です。
必要に応じて前の単元に戻ったり、得意な科目から始めたりしながら、無理なく続けられる進め方を考えましょう。
短時間・低頻度から始める
家庭教師をつける場合も、最初から長時間・高頻度にしない方がよいでしょう。
たとえば、最初は週1回・30分〜60分程度から始め、子どもの様子を見ながら調整する方法がおすすめです。
「毎回きちんと勉強しなければいけない」と感じると負担になるため、最初は雑談や簡単な問題から始めてもよいでしょう。無理なく続けられる形で始めることで、学習習慣を少しずつ作ることができます。
よくある質問
小学生の子どもが不登校になったら、まずどう対応すればよいですか?
まずは無理に登校させようとせず、子どもが安心して休める状態を作ることが大切です。
学校に行きたくない気持ちを受け止めたうえで、少し落ち着いてきたら、生活リズムを整えたり、学校との関わり方を相談したり、短時間の勉強に触れたりしながら、本人が「これならできそう」と思える行動を少しずつ増やしていきましょう。
小学生の子どもが不登校になる原因には何がありますか?
友人関係やクラスの雰囲気、先生との相性、勉強への不安、体調不良などが原因になることがあります。ただし、原因が1つとは限らず、複数の不安や負担が重なっている場合もあります。
不登校中の勉強の遅れはどうすればよいですか?
勉強の遅れが気になる場合も、焦って一気に取り戻そうとしないことが大切です。無理に学習量を増やすと、勉強そのものへの抵抗感が強くなることがあります。
まずは漢字を1つ書く、計算問題を1問解く、教科書を少し読むなど、負担の少ない内容から始めましょう。学校の教材、通信教材、フリースクール、家庭教師なども、子どもが少しずつ学習に触れる時間を作るための選択肢になります。
まとめ
小学生の子どもが不登校になると、保護者の方は原因や今後の対応、勉強の遅れなど、さまざまな不安を感じると思います。
不登校の原因を知ることは大切です。ただし、子どもを問い詰めるように理由を聞き出したり、すぐに登校させようとしたりすると、かえって子どもの負担が大きくなることがあります。まずは、子どもが安心して休める状態を作りながら、少しずつ状況を整理していきましょう。
少し落ち着いてきたら、元の生活に戻すことを急ぐのではなく、本人ができそうなことから少しずつ取り組めることを増やしていくことが大切です。
勉強の遅れが気になる場合も、焦って一気に取り戻そうとしないようにしましょう。学校の教材や通信教材、フリースクール、家庭教師なども含めて、子どもの状態に合った学習方法を選び、少しずつ学習に触れる時間を作っていきましょう。
不登校は、家庭だけで抱え込む必要はありません。学校や相談機関とも連携しながら、子どものペースに合わせて対応していきましょう。
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