関東の難関私立大学の代表格である慶應義塾大学。多くの特徴を有する慶應義塾大学は同時に多くの魅力を持っています。
本記事では、慶應義塾大学の学部や教育システム、キャンパス情報といった基本情報をご紹介します。合わせて入試の特徴、対策ポイントなども記載してありますので慶大志望生の方は是非チェックしてみてください。
Contents
最難関私立大学 慶應義塾大学とは
日本を代表する大学として挙げられることも多い慶應義塾大学。福沢諭吉が開校した蘭学塾が起源になっています。
各種の世界大学ランキングでは、日本の私立大学の中ではトップクラスとなっており、難関国立大学にも迫る勢いとなっています。「THE世界大学ランキング2020」では、慶應義塾大学や神戸大学などと共に世界601位~800位、「QS世界大学ランキング2020」では日本の私立大学としてはトップの世界196位、国内9位となっています。
慶應義塾大学は、早稲田大学と共に最も古い大学の1つです。現在は、10学部(文学部、経済学部、法学部、商学部、医学部、理工学部、総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部、薬学部)が設置されています。魅力あふれる学部のどれもが日本トップクラスであり人気が高く、偏差値や入試難易度も非常に高いです。
慶應義塾は、大学・大学院だけでなく、小学校~高校も設置されており、非常に大きな教育機関であると言えます。
また、早慶戦にも代表されるように、大学スポーツにおいてもトップクラスであり、早稲田大学と共に「私学の雄」と評されています。
慶應義塾大学の教育
慶應義塾大学では、半学半教の精神を重視しているようです。これは、
教える者と学ぶ者との師弟の分を定めず、先に学んだ者が後で学ぼうとする者を教える。教員と学生も半分は教えて、半分は学び続ける存在という、草創期からの精神です。
慶應義塾大学HP
とのことです。
このように、慶應義塾大学では、教員と学生は高校までの”教える側”、”教わる側”という一方向の関係ではなく、双方向の関係であろうとしていることがうかがえます。
慶應義塾大学に設置されている学部の概要・入試
慶應義塾大学は次の13の学部で構成されている総合大学になります。
以下、それぞれの学部の概要や魅力、入試の注意点などを紹介していきます。
文学部
慶應義塾大学の起源である蘭学塾は、西洋の学問を学ぶことを目的としていましたが、福沢諭吉が開設したころから語学を学ぶ場となっており、その流れを汲んでいるのがこの文学部です。
この文学部の大きな特徴は幅広い領域をカバーしていることです。17専攻+2部門が設置されており、いわゆる”文学”のイメージする範囲から、哲学や史学、図書館・情報学、人間関係学、自然科学と、既存のイメージにとらわれることなく横断的・学際的に学ぶことができる学科です。
入試難易度は、データ元により異なりますが、慶應の他の学部と比べると幾分易しいと言えます。また、3科目の入試となっており、対策が立てやすいとされています。偏差値は65.0です。
経済学部
慶應義塾大学の看板学部として名を馳せてきた経済学部。その歴史は古く福沢諭吉が存命中に作られた「理財科」を起源としており、日本で最初の経済学部です。
経済学部は、経済学的思想の総合力を養成することで国際的に活躍できる経済人を育てることを目標としています。そのため他大学以上に経済学理論を徹底的に学ぶことや、経済学教育を全て英語で行うPCP(プロフェッショナル・キャリア・プログラム)といったプログラムなどを持つことが特徴的です。
また、「三田会」と呼ばれるOB組織との強力なつながりを持ち、圧倒的な就職実績を持つことでも知られています。
経済学部にはA方式とB方式の2つの入試方式があります。特にA方式では数学を利用できるということもあって国公立志望生も多く受験します。特に東京大学や一橋大学などの志望生も併願しているため受験者層が非常にハイレベルとなります。偏差値は67.5です。
法学部
法学部は、最近では経済学部と並び慶應義塾大学の看板学部と言われており私立文系最難関として知られています。また、令和元年どの法科大学院別司法試験予備試験合格者数は全国一位でした。
法学部は大きく分けて二つに分かれています。一つが法律学科、もう一つが政治学科です。
法律学科では、主に法律を学びます。単に法曹を育てることを目的としているわけではなく、社会現象を法律的にとらえる能力、つまりはリーガルマインドを育てることを目標としています。
政治学科では、政治学を中心としつつ多くの分野に関して学習をしていきます。学べる範囲が非常に広いため大学に入学してから興味関心のある分野を探したい人にオススメです。
法学部の入試は私立最高峰の名にふさわしい難易度を誇っています。入試科目は英語・歴史(日本史または世界史から一つ選択)・小論文から成ります。英語は非常に難解な長文が出題されますが、配点のうち半分を占めるため重点的に対策する必要があります。偏差値は67.5〜70.0です。
商学部
商学部は理財科として成長し、商学系統の学問の成熟を待って独立した学部です。実学を重視する商学という学問の性質上、商学部は「実学」の重要性を説いた福沢諭吉の考えを体現している学部と言えるかもしれません。
商学部の特徴は「経営学フィールド」「商業学フィールド」「経済・産業フィールド」「会計学フィールド」という相互に補完的な関係にある4フィールドを網羅している点にあります。学生はこれらの4フィールドを柱に、各自の知的関心と希望する将来の進路にそって、自主的かつ個性的に専攻分野や科目を履修することが可能です。
入試の特徴としては、経済学部同様、国公立志望生が多く受験するA方式と私立専願の受験生が多く受験するB方式の2つの方式が採用されています。一方で商学部の入試の特徴として小論文が課されないという点が挙げられます。慶應の文系学部は小論文が課されるためにで早稲田大学に比べて併願において敬遠されがちですが、商学部にはそういった心配はありません。また、偏差値だけで言えば法学部や経済学部よりは少し下がるため相対的に入りやすい学部であると言えるでしょう。偏差値は65.0〜67.5です。
医学部
慶應義塾大学の医学部は、世界的な細菌学者として知られる北里柴三郎が初代学部長を務め開設された歴史ある学部です。医学部の中ではトップの難易度及び知名度を誇ります。
医学部では総合大学の強みを生かし他学部との連携を進めており、医療に関する諸問題を多角的に解決することを目指しています。
また、慶應義塾大学の医学部の特徴として圧倒的なメディカルネットワークを持つことが挙げられます。長い歴史の中で築かれたOBとの強い縦のつながりや多くの関連病院の存在は医師業界内でのキャリアにおいて非常に有利になるはずです。
慶應義塾大学医学部の入試は私立、国立含めた医学部の中で最難関に位置付けられられます。東大理科Ⅲ類など他難関大学医学部受験生の大部分も併願受験するため、合格難易度は非常に高いです。特に理系科目(数学および理科)の難易度は大学入試内でもトップと言えます。偏差値は72.5です。
理工学部
理工学部は医療系学部を除けば、慶應義塾大学唯一の理系学部になります。私立大学では工学系、理学系学部の最難関となっており、国公立を含めても理工学系のトップ層に位置づけられます。
「学門制」を採用していることが理工学部の大きな特徴です。理工学部は入試の時点で5つの学門のうち一つを選択します。入学後、自分の興味関心に応じて徐々に学びたい分野を絞っていき、2年進級時に所属する学科を決定します。これにより入学後の学科や科目選択がより自由になります。また、別な学門から入学した異なる関心を持つ学生同士が一緒に学ぶことで刺激的かつ創造的な学習環境が形成されるというメリットもあります。
理工学部の入試難易度は極めて高く、東京大学・京都大学・医学部受験生といった理系トップクラスの受験生と合格枠を争うことになります。配点が高いことに加え国公立受験者が多いため、英語は理系の中でも高い点数をとることが必要です。入試問題は全学門で統一となっています。偏差値は65.0です。
総合政策学部
総合政策学部はSFCと呼ばれる湘南藤沢キャンパスに設置されています。後述の環境情報学部とは別の学部ではありますが、学部間の垣根はありません。
総合政策学部の特徴はその自由さにあります。明確に主となる学問がないため自分の興味関心に沿って様々な分野を学ぶことができ幅広い知識を獲得できます。総合政策学部の目的は世界の問題解決のプロフェッショナルを養成することにあります。現代の問題は一つの学問分野だけでは解決不可能なほど複雑化しています。そのため複数の学問分野を横断的に学べるような形をとっています。
入試問題は非常に特徴的なことで知られています。小論文が必須で外国語・数学から1科目選択となります。小論文が特に特徴的で120分の試験時間が与えられ、全体の論述字数が1500字を超えるなど非常に重厚なものになっています。また、資料の数も膨大で情報処理能力、意見をまとめる力、知識量など様々な面が総合的に問われています。入試難易度は慶應の中では比較的簡単な部類に属します。偏差値は70.0です。
環境情報学部
環境情報学部は上の総合政策学部と極めてよく似た学部となっています。強いて言えば「理に融合した文系」が総合政策学部で、「文に融合した理系」が環境情報学部になります。
科学技術やデザインでの創造的問題解決を理念に掲げている環境情報学部は、総合政策学部同様幅広い分野の学問を履修可能という特徴を持ちます。そのため入試の時にやりたい学問が明確に決まっていないという人に特におすすめです。
入試も総合政策学部同様小論文が必須で外国語・数学から1科目選択する形になります。入試難易度に関しても科目数が少ないため偏差値は高めに出ますが、慶大の中では低めとなります。偏差値は70.0です。
看護医療学部
慶應義塾大学の看護医療学部は看護系学部の中でトップクラスの難易度及び知名度を誇ります。2018年には看護教育の開始から100年目を迎えた伝統ある学部となっています。
総合大学の強みを生かし、同じキャンパス内にある総合政策学部・環境情報学部の科目を中心に様々な科目を履修することで知識の幅を広げることができます。また、看護医療学部独自の海外研修プログラムも設けられており、広い視野を持った看護師、医療人を目指すことができます。
看護医療学部の入試の特徴としては受験科目の選択が可能という点が挙げられます。英語と小論文は必須ですが、数学・化学(基礎)・生物(基礎)から一つ選択となるので自分の得意な強化で勝負することができます。偏差値は60.0です。
薬学部
薬学部は、現在慶應義塾大学に設置されている学部では最も新しい学部です。2008年に慶應義塾大学と共立薬科大学が合併して設立されました。その難易度は私立薬学部の中で最難関です。
薬学部は薬学科と薬科学科に分かれています。
薬学科は6年制のカリキュラムとなっており、薬剤師を志望する学生が主に在籍しています。一方の薬科学科は4年制のカリキュラムをとっており、卒業後は大学院に進むなど研究者の道を歩む人が多くいます。
また、医学部、看護医療学部を持つ慶應義塾大学の強みを生かした医療系三学部合同教育プログラムが設けられています。これにより、社会的に重要視されているチーム医療に貢献できる薬剤師養成教育を行っていることも慶應義塾大学薬学部ならではの特徴です。
私立薬学部最高峰とあって、慶應義塾大学の薬学部の受験者は最難関国立や医学部受験生と合格枠を競うことになります。科目としては英語、数学、化学を用いますが、その中でも化学の配点が高くなっています。配点が高いだけでなく、薬学部の化学は非常に難易度が高いため入念な過去問研究などの対策が不可欠です。偏差値は62.5〜65.0です。
最近では、慶應義塾大学が東京歯科大学を吸収し、順調にいけば2023年4月には「慶應義塾大学 歯学部」が誕生するというニュースも流れています。医療系学部同士の連携がさらに強化されることが予想されるため大きな期待が寄せられています。
慶應義塾大学のキャンパス
慶應義塾大学は独自の雰囲気を持つ、特徴あるキャンパスを6つ有しています。以下、それぞれについて解説していきます。(主に大学生が利用するキャンパスにフォーカスしています)
三田キャンパス
慶應義塾大学と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのがこの三田キャンパスになります。三田演説館や図書館旧館などがあり、東京タワーなどが近い都会的なエリアにありながら、明治から続く慶應の歴史と伝統を感じることができ流キャンパスになっています。主に文系学部の3、4年生が利用します。
日吉キャンパス
日吉キャンパスには7学部の1、2年生が主に通っています(文・医・薬学部は1年生のみ)。そのためフレッシュで活気に満ちた雰囲気が特徴です。また、約10万坪ものキャンパスは入り口に門がないため、街と一体化した開放感を醸し出しています。日吉駅周辺は学生街なので多くの飲食店が軒を連ねており、落ち着いて過ごしやすい環境です。
湘南藤沢キャンパス
略してSFCと呼ばれる湘南藤沢キャンパスは、主に総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部の学生が利用します。自然豊かな10万坪もの広大なキャンパスの中には充実したIT設備が整えられており、最先端の技術を駆使した研究が数多く行われています。
信濃町キャンパス
慶應義塾大学病院と一体化した信濃町キャンパスは医学部の学生が主に利用します。早い段階から医療現場を体験し、実際に患者さんと接しながら学ぶことを目的としています。キャンパス付近には神宮外苑の杜が広がっています。また、日本最大のターミナル駅である新宿駅からも近く利便性も抜群です。
矢上キャンパス
日吉キャンパスから太刀ひとつ隔てた丘の上に立つ矢上キャンパスでは理工学部の3、4年生が学んでいます。新宿の高層ビル群や富士山を見渡せる眺望の良さが魅力の一つです。最新の理工学教育・研究を担う様々な設備を擁しています。
芝共立キャンパス
芝共立キャンパスでは主に薬学部の学生が学んでいます。東京タワーに程近いところに位置する立地の良さと、増上寺や芝公園が近くにあるといった落ち着いた雰囲気を兼ね備えた学習環境を提供しています。また、周囲に鉄道が4路線あり、どの駅からも徒歩10分以内の場所に位置するというアクセスの良さも大きな魅力の一つです。
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